クスコから、ボリビア国境に近い南部の街プーノまで行く。プーノはチチカカ湖に面した南部最大の街だ。クスコからは飛行機、列車、バスの交通機関があるが、最も時間がかかり、最も安いバスでの移動を選んだ。長距離バスでの移動は、途中のルックアウトポイントにも立ち寄り、ランチやスペイン語・英語のガイド(英語はカタコト)が付いて35ドル。そのうえバスは、トイレ・エアコン完備!そうだと知れば、逃す手はない。早速現地のNishikawaTravelで手配。NishikawaTravelは日本人経営の現地旅行会社。今回はあれこれと助けていただいた。
途中の立ち寄りポイントは、遺跡、教会、博物館、4300mを超えるポイントなど多彩。コースなどについて詳しくは、InkaExpressの案内やNishikawaTravelの案内が役に立つ。
- インカ・エクスプレス オフィス
35ドルで、プーノまで遺跡など立ち寄りながら10時間。英語のガイドも同乗する大型バス。
- 通学の学生たち
制服を着た学生たち。待ち合わせているのか、サボリの相談をしているのか。
- アンダワイリーヤス礼拝堂
アメリカ大陸にあるシスティーナ礼拝堂として有名なアンダワイリーヤス礼拝堂に到着。1580年にスペイン修道士によって建造されたバロック様式の礼拝堂で、絵画や壁画、そして天井に描かれた綺麗な模様と金箔で飾られた祭壇には、宗教芸術に関心がなくとも驚く。なぜこんな寒村に建てたのだろう。 キリスト像はインカの宗教や人々の肌の色とクロスオーバーしている。 【標高3093m】 (礼拝堂内部の写真撮影は禁止されている)
- ウィラコチャ神を祀る神殿跡
ラクチに残るインカ時代の建造物でウィラコチャ神を祀る神殿だったと考えられている。ラクチはキムサチャタ火山の麓にあり、周囲を5000mの山々が囲んでいる。 この遺跡は石と泥で造られたおり、インカ時代の他の遺跡では見られない。【標高3475m】
- 石と土の壁
この壁は建物の中心に位置し、この壁から左右に屋根が伸びる構造だったようだ。壁には、木材を繋ぐための窪みや穴、扉の跡などが残っており、いくつ物部屋に区切られた、三層の建物であったことが窺える。
- 復元図
ガイドがスペイン語と英語で遺跡の復元図を説明してくれる。
- 穀物倉庫跡
ウィラコチャ神の神殿跡では、その周囲にも多くの遺跡が残る。神殿近くには神官の住居跡、低い石壁を隔てて、穀物倉庫や住居の石壁が残る。山の上には長く続く城壁。乾燥する気候のため、多くの遺跡が残っている。 穀物倉庫跡だけは、屋根が架け直され、往時の姿を見せている。
- 住居跡
神官や地位の高い人の暮らすエリアへ入るための門の役目も果たす住居の跡。石、土、木材を駆使した三層の住宅。この入り口の奥には、同じ形の住居跡が幾重にも続く。
- 草を刈る農夫
神殿跡から50mほど離れた沼で働く人がいる。沼に生えた草を刈っている。食料とも思えない植物なので、アルパカなどの餌にするのだろうか。
- 虹
見上げれば、太陽の周りで円になった虹がかかっている。
- シクアーニの町
昼食を摂るためにシクアーニの町へ。 ちょうど学校の午前と午後の部が入れ替わる時刻で、路地にはカバンを背負った子供の姿が見える。
- 通学の子供たち
ペルーでは、制服姿の学生を見かけることが多い。制服の色使いにもインディヘナの感性を感じる。
- 田園風景
バスは、シクアーニを出て田園風景の中をアンデスの山に分け入ってゆく。対向車も少なく、幹線道路は整備されているので、スピードが上がる。
- 風景の変化
バスは徐々に標高を上げながら走る。車窓の風景は田園風景から高地特有の植物の少ない風景に変わる。バスの中も少し肌寒くなったようだ。
- 標高4335m
プーノまでのバス・ルートで最も標高が高いラ・ラーヤ。空気の薄さをダイレクトに感じる。さらに半袖のポロシャツでは肌に刺す寒さも感じるオマケつきだ。 ここは見所らしく、バイクで旅する白人や大型バスで乗り付ける日本人ツアー客の姿など、顔ぶれは多彩だ。【標高4335m】
- ラ・ラーヤからの眺め
ラ・ラーヤから東に眺める5000mを超える峰々の姿は圧巻だ。手前には駅舎の屋根が見える。プラットフォームはないが、お土産売りの女性たちが、列車の到着を待ちながら話している。
- お土産売りの子供
ルックアウトポイントともなれば、4335mであってもお土産売りの姿がある。周りに家らしきは見当たらない。お客の到着とともに子供は一人で遊び始める。
- あっさりした土産売り
土産物となる織物や人形などを広げ、客となるかもしれない外国人たちに声をかける。しかし、声をかけた相手にその気がないとわかれば、しつこく売ろうとしない。インディヘナは感情が高ぶりやすいが、シャイな人が多いという。
- 風景の変化
標高は4000mを割った。車内が少し暑くなってくる。同時に車窓の草木が濃くなってくる。時折、放牧の様子も見える。【標高3953m】
- 平原へ
疾走するバスは、アンデスの山の中から平原に出る。
- 壁が看板
ペルーでは、住居の壁や塀を看板代わりにペイントしている。このペイントがけっこう上手い。本職の職人がいるのだろう。この壁にはインカ・コーラが描かれている。土の壁が並ぶ中、インカコーラの青と黄色はよく目立つ。
- 魔よけの牛
ペルーの南に下ってくると、家々の屋根に2頭の牛が乗っている。魔よけなのだというが、起源や謂れを聞いてもよくわからないとの答えばかり。インディヘナにとっては、謂れなどどうでもいいことなのかもしれない。【標高3901m】
- プカラ
プカラでは博物館へ。規模は小さいが、周囲の遺跡で見つかったさまざまな発掘物が見られる。特に刎ねた敵の首を脇に抱える像には驚く。【標高3879m】
- フリアカ
フリアカはサンローマン県の県庁所在地。人口25万人が暮らし、空港もある大きな町。ペルーでは自転車を改造した、トリシークロという自転車タクシーが一般的。トリシークロのほかにも、客が座る椅子を荷台に代えて荷物運搬用にした三輪自転車も見かける。【標高3825m】
- 線路沿いの道路
働く人の姿が見られるが、よく見ると座り込んでいる人が多い。線路沿いの両脇は広く開けられ、将来の拡張計画があることを感じさせる。そうした街の整備計画は進んでいないためか、道路が未整備のところが多い。直感的に治安が良くない印象を受ける。プーノまで、あと42Km。
- プーノ到着
山を越えるとプーノの街が見えてきた。そして、その向こうにはチチカカ湖が切れ切れに見える。プーノは南部ペルー最大の都市で、チチカカ湖に面している。インカ時代には天神降臨の地のひとつとして重要な土地だった。現在も多くのインディヘナが暮らし、祭りや衣類などフォルクローロが色濃く残る街だ。 クスコから380Km、9時間半の移動はかなり楽しめるバス旅行だった。【標高3827m】