チチカカ湖とそこに浮かぶ浮島(ウロス島)を見にやってきた。
チチカカ湖は、海抜3810メートルにあり、湖水面積は琵琶湖の約12倍。実感できない広さだ。ペルーとボリビアの領土にまたがり、その湖面の60%がペルー領である。チチカカ湖の島々やその周辺には、ケチュア族やアイマラ族、ウル族といった先住民系の民族が居住して農耕や漁業、観光に携わる一方で、沿岸の都市部で働くことも増えたという。
浮島に暮らすのはウル族と呼ばれる人々だ。インカ時代に賎民として追われて浮島に暮らすようになったとも言われている。現在純粋なウル族はおらず、ケチュア族やアイマラ族との混血の人々が暮らしている。ウル族は自らを「ウロウロ」と呼ぶことから、ウル族と呼ばれるとともに、彼らが暮らす浮島をウロス島という。ウロス島はいくつもの浮島の総称である。
ウロス島は「トトラ」と呼ばれる葦でできた浮島で、そこに700人ほどの島民が生活している。島自体は、湖面に顔を出すようにして生えているトトラを刈り取り、それをブロックのようにして束ねたものを湖に浮かせ、さらにその上に敷き藁のようにしてトトラを敷き詰める、といった方法で作られており、浮材として使っているトトラが腐ってきたときは、さらに上から新しいトトラを補充する。
ちなみにチチカカ湖には、チリとの戦争で海を失い、内陸国となったボリビアの海軍基地がある。
- チチカカ湖は広い!
初代インカ皇帝マンコ・インカが妹とともに舞い降りたという伝説が残る湖。アンデス山脈のほぼ中央にあり、海抜3890メートル、面積は琵琶湖の12倍。ペルーとボリビアにまたがり、湖面の60%がペルーの領土。トゥルチャと呼ばれるマスが多く捕れ、売買や家庭の食卓にのぼる。しかし、上手に料理したものでないと、泥臭くて食べにくい。
- ボートの漕ぎ方
日本の漕ぎ方と違い、進行方向に向かって漕いで行く。多くの場合立って漕いでいることが多いが、これは力を入れやすいことが理由ではないだろうか。
- 葦
チチカカ湖の水深は最大270メートルほど。浅瀬ではたくさんの葦が植生し、浮島や船の素材として利用されている。
- 双頭のトトラ船
トトラ船の多くはシングルカヌーだが、なかにはこのようなダブルカヌーもある。儀式用のトトラ船と思われる。
- トトラの収穫
葦の一種であるトトラ。これを3メートルほどに刈って、船や島の素材にする。
- トトラを敷く
刈ってきたトトラは、すでに敷かれて腐り始めた部分に重ねて敷く。こうして厚みを加え、浮力を維持する。
- ウロス島のお土産つくり
織物を紡いでお土産の壁掛けやカーペットを作っている。細かな絵や模様が鮮やかな色で描かれていている。絵は伝説やチチカカ湖での暮らしを描いているものが多い。
- 浮島の構造(その1)
ウロス島に着くと、浮島の構造について説明してくれる。湖底に打ったアンカーと浮島を結び、風などで流れないようにしている。
- 浮島の構造(その2)
浮島の上には、トトラを幾重にも積み重ね、その上に家を作るということを模型を使って説明してくれる。
- 食べられる
トトラの茎は、その根に近い部分を生で食べることもできる。緑入りの表面を剥いて、白い茎を食べる。細かな気室がたくさんあり、シャリシャリとした歯ごたえ。エグ味もなく、かすかな甘さを感じる。このシャリシャリする気室が浮力の源だとわかる。
- トトラの家
トトラで作った家の中は、さっぱりしており清潔だ。多くを持たない彼らの暮らしは質素で倹しい。
- ジャガーを模したトトラ船
船首にジャガーを模した船を多く見かける。神と崇めるジャガーであると教えられるまでは、そうとは気が付かない。かなり愛嬌があるジャガーだ。
- ジャガーのトトラ船(横)
横から見たジャガーのトトラ船は、オバケのQ太郎のようにも見える。漕ぎ手は進行方向に向かって漕いでいるのがわかる。トトラ船に乗ってみると、かなり安定していて、乗り心地も悪くないことがわかる。束ねたトトラをいくつも並列させる構造(イカダに近い構造)になっていることによるようだ。
- 浮島の台所
浮島の家々には一軒ごとの台所はなく、複数の家庭で共有する台所がある。これは火を使う場所を限定し、火事の被害を少なくするための知恵だ。かまどとなる場所の下には、砂や土が敷かれている。
- 浮島の家々
トトラの浮島に建つ家々。簡単なつくりであることは見てとれる。古くなったり、壊れたりすれば、直ちに改修や再建ができるのだ。
- 土の島
チチカカ湖はトトラの島ばかりではない。地面の上に建つ建物は、トタンなどを使った普通の建造物だ。トトラに暮らす人々に比べると生活水準も高く、反面トトラの島に暮らす人がインカの時代から虐げられてきたということが理解できる。
- 学校
浮島やほんとの島などチチカカ湖の島々に暮らす子供たちは、中学校まで島の学校へ通う。この学校は地面のある島に立っている。
- 浮島の女の子
浮島に暮らす女の子。お母さんたちの真似をして背に荷物をしょっている。
- 浮島の人たち
浮島には6家族が暮らしていた。特徴的な帽子と鮮やかな衣装に身を包んでいる。
- アディオス!
ウロス島で案内をしてくれた男性が最後まで手を振って見送ってくれた。
- モトタクシー
地域によって形はさまざまだけど、バイクを改造して作ったモトタクシーは、ペルーの各地で走っている。ペルーの北部では、壁がなく風を受けながら走るタイプが多いが、南部ではこんな形のモトタクシーが多い。