聖なる谷

ピサックの市場

 クスコから東へ30キロメートルほど行くと、ウルバンバ川が流れている。ここは6000メートル級の山々に囲まれた「インカの聖なる谷」(Valle Sagrado de Los Incas)と呼ばれるウルバンバの谷だ。ここへ行く山中の山肌には、ペルー地震の断層による地割れが幾本も並んでいる姿を見ることができる。

 途中市場や遺跡で名の知れたピサックを通ってウルバンバの谷を北へ進むとオリャンタイタンボだ。オリャンタイタンボ遺跡には、6つの巨石を組み合わせた不思議な建造物が残っている。高さ4メートル、幅10メートル、奥行きは1メートルほどの岩壁のような建造物は周囲に切り出した石があることから、建造途中とも言われている。この巨石は谷の反対側の山で切り出された石だということがわかっている。これほどの大きさの石を、いったいどうやってこの山の上に上げたのだろう。不思議なことばかりだ。
 さらに遺跡の上から谷を振り返れば、ウルバンバ川を挟んだ岩肌の高みに見張り小屋が岩肌に張り付くようにして作られているのが見える。またオリャンタイタンボの町には、インカ時代の灌漑用水や下水道の施設が残り、今も使われ続けている。「旅籠」を意味するケチュア語の「オリャンタイタンボ」はその名に相応しく交通の要所であり、アマゾンとマチュピチュへの分岐点でもある。

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