

パコ・ムーロ (著)
なぜだろう?
どうして企業経営者の多くはゴルフをやるんだろう。
接待で仕事のためにゴルフをする人もいないこともなかろうが、私は自分の経験からみて仕事上の付き合いのためだけにゴルフをする人はごく一部と思う。多くの人はのんびりしたい、ストレス発散、植物の中に身を置く、練習した分だけ成果が見えるなど、いろんな動機の組み合わせでゴルフを楽しんでいると思う。私の場合はのんびりできる開放感と練習の成果を実感する達成感がゴルフをする動機だ。友人との気の置けないラウンドはなおさら愉しい。スポーツとしてのゴルフは楽しい。スコアが良くなって、バンカーや池が気にならなくなれば、なおさら楽しい。
バブル経済の頃はプレイフィーが高かったことも手伝って、ゴルフは社用族などと呼ばれる人たちが接待など会社のお金でやる娯楽で案外鼻持ちならないイメージもあった。経営者たちも同じなのか?
自分がゴルフをやってみて、プロセスが仕事やビジネス、人生に通じることがゴルフが好かれる第一の要因だと感じる。つまり、経験や知識、考えたことが結果に繋がり、さらに偶然が結果を左右するということだ。たとえ同じ環境下条件下であっても、それらが異なれば、一緒にプレイする人のあいだで結果(スコアとその質)は明確に異なる。
目指すゴールを設定し、そこに向かってプランを立てて実行していく。ゴルフも何打でラウンドするか、そのためにはグリーンのどこにボールを乗せるか、その前の一打は?さらにその前は・・・?自分の技量では・・・? そうした思考の末に第一打を打つ。そうした計画があっても実行するスキルと風などの状況変化への対応が求められる。
プラン通りに実行できなかったときは、ただちに失敗の修正やプランの見直しが必要になる。そして「すべてのステップが正しく実行されれば、最後にはありがたい結果が得られる」と著者は書いている。
仕事もビジネス環境も、ましてや立場も違う遠いスペインのビジネスマンが同じ印象を抱くなら、仕事とゴルフができる国のビジネスマンにとってはひとつの真理なのだろう。もちろんゴルフやゴルフ場が嫌いでない限り。
本書では、こうしたビジネスや人生の真理を13の話として紹介している。