沈黙入門

沈黙入門 (幻冬舎文庫)

 小池 龍之介(著)

 通勤途中の駅、昼ごはんを食べに行ったレストラン、会社帰りの街中・・・・すれ違う人は十人十色。本当に世の中には面白い人、一風変わった人、目を奪われる人が多くて驚かされる。人だけじゃない。’えっ!?’と思うことに出くわす事が多い。
 そうしたとき、私は驚かされるだけでなく、大抵独り言を呟いてしまう癖がある。目にした人の特徴であったり、出来事そのものに対する「一言総括」にようなもので、往々にして’余計な一言’ということになる。
 ’余計な一言’とは「その場の状況に関係なく、言わなくてもいいこと」であり、もっと端的に言えば「口にする必要のない言葉」だ。

 そこまでわかっているのになぜそんなことを口走ってしまうのか。

 自意識に関わる欲望が自分病なっているという。つまり無意識のうちに自分は特別な人間だと思い込み、その特別な自分が語るのだから自分の話は当然有意義であったり、面白い話であると思い込んでいるのだという。
 実際の生活では、皆が同じように挫折をしたり、悔しい思いをしたりしながら暮らしている。そうした現実をごまかすために、「かけがえのない自分」やら「自分の個性を生かそう」と思い込みたい気持ちが無意識に働いている。この無意識の気持ちが、会話や思考のなかの「自分濃度」を高め、どこへ行っても一言コメントをしてしまう(ケチをつけてしまう)のだと、僧侶である著者は言っている。
 途中、主張の辻褄が怪しく感じられる点もあるが、それは読み手が至らないのだと言い聞かせて、読みきってみると、いくつも参考になる言葉や考えがあることに気づく。
 「意見のあるところには欲がある」、「ありふれた正論を得意げに話す」、「批判の裏には自慢が隠れている」、「悪口を言うと毒が体に回る」、「あいつはダメ = 自分はステキ」など、自分の下品さを見直すきっかけが平易に書かれている。

 私の場合、独り言の癖はいっこうに直らないが、「自分濃度」を感じたときには「沈黙沈黙」と2回ほど唱えることにしている。

 付き合いのある人との会話に疲れ気味の人や物腰を上品にしたい人にちょうど良い感じです。私のような毒舌家は、偶然の出会いでもなければ、この本は手にしないでしょうからオススメしません。(コレが余計な一言だって!)


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