母~オモニ

 姜 尚中 (著)

 誰にとっても、母はほかの人と違う存在であり、子供の心の中で母が占める割合は非常に大きい。息子からみても娘からみても、そのことはさほど変わらないのだろう。決して父親が特別な存在ではないという気は更々ないが、その父親でさえ自らの母親に対してはほかの人と違う存在であることは感じているはずだ。

 私自身も決してほかの人と変わるところなく、私にとっての母は特別な存在である。そうすることが当たり前であるかのように子供を想い、慈しむ母親である。そうした普段の母が時折見せる表情や言葉からは、子供には語らない母の人生が見える。学生時代の母、父との結婚前の母、貧しい暮らしをさせた母。母は何かを伝えたかったのだろうか。それとも自分に聞かせるためだけの独り言だったのだろうか。

 私自身の話は面白くもなく、世間様に言えないことばかりである。ゆえに文字を費やすことをしないが、本書は行を進めるうちに自らも母に会いたくなる。そうした一冊である。


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