アンデスなど高地へ旅行する場合、高山病になってしまうことがある。脳が膨れ、頭痛と気分の悪さを感じる高山病は、症状が悪くなれば幻覚幻聴もあるという。せっかくの旅なのに高山病になっては楽しくない。ペルーへの旅では、高山病に効くと言われるコカ茶(MATE DE COCA)を四六時中、飲んでいた。
コカの葉にはさまざまな効能があり、アンデスの先住民たちは神への捧げもの、儀式の道具、鎮痛剤などとして利用してきた。その利用の仕方は、天日に干した葉を灰(石灰)とともに口に含み、噛みタバコと同じように噛んだり、お茶にして飲んでいる。
現在も日常的にお茶として砂糖を入れたお茶として飲まれ、高山病にかかった旅行者は頭痛や吐き気を和らげた。
コカの葉は、ビタミンや鉄分、カルシウムを含みもちろん中毒性などない。しかし一方では、この葉を粉状にして石灰水や灯油、硫酸などを使って化学的に精製すると、白い粉のコカインとなる。コカインが強い中毒性をもつ薬物であることは誰でも知っている。また世界中のほとんどの国ではコカインの所持や使用は犯罪だ。(コカインの使用は、そのほとんどがアメリカをトップとする先進国だといわれている)
アンデスの先住民にとって神の葉とも言えるコカが悪魔の粉となってしまうことが、とても残念でならない。ペルーでみたコカは神聖な植物として利用され、人々に親しまれている。もちろん麻薬とはまったく無縁のものだ。(コカの葉は国外へ持ち出すことはできない)