マチュピチュの動植物

インカ道を歩くアルパカインカ道を歩くアルパカ
 マチュピチュでは突然出会う。草を食みながらボチボチとやってくる。片側が切れ落ちているインカ道でアルパカやリャマに出会うとかなり怖い。相手は人に慣れているかもしれないが、こちらは想像力が豊かであることを恨みながら、身の処し方を思案する。無事すれ違ったあと、安堵と笑いがこみ上げる。

リャマやアルパカがあちこちにいるリャマやアルパカがあちこちにいる
 奈良公園の鹿ほどではないが、マチュピチュではリャマやアルパカを良く見かける。階段や坂道をうまいこと歩いている。のんびりしているようだが、案外移動のスピードは速いので、いきなりギョっとするほど近くに来てたりする。

マチュピチュに行ってみた(#3)

太陽の神殿 または 大塔太陽の神殿 または 大塔

マチュピチュでは、さまざまな石の構造物や細工を見ることができる。インカの人の信仰に関わる構造物や日常生活に密着した道具など、見ていて飽きることはない。インカの遺跡では、剃刀の刃1枚すら差し挟むことができない築石の技術をもって、しばしば語られる。確かにこの築石の技術も素晴らしい。しかし、私は曲面の美しさを見たときにこそ、インカの職人たちの技術と芸術性の素晴らしさを強く感じる。マチュピチュに限らず、インカの建築や石細工の曲線、曲面に注目すると今までにない新たな発見が得られるだろう。

マチュピチュに行ってみた(#2)

インティワタナインティワタナ (日時計と呼ばれているが、癒しのパワーも・・)
 マチュピチュ遺跡には、当時のインカの人々の信仰にかかわる場所や建造物が多くある。天を神の場所として、また地下を黄泉の場所として考え、その間には現世という地上があり自分たちが暮らす場所という世界観。天の中心となるのが太陽である。太陽信仰は中南米から南米アンデスに至る広大な地域に存在する。ここマチュピチュで太陽信仰を伝える代表的は建造物が、このインティワナである。
 インティワナには、手をかざすだけで癒されるという不思議な力が宿っているという。これも太陽の力なのか。もちろん両手を一杯に伸ばして、ロープの外から手のひらをかざした。ぼんやりと暖かさを感じたが、その暖かさが岩が吸収した熱なのか、癒しの力なのかは考えないほうがマチュピチュを深く感じることができる。

マチュピチュに行ってみた(#1)

a panorama of Machupicchuマチュピチュの全景

 奥の山を越えて行けば、ジャングルが始まり、いずれアマゾンへとつながる。乾季が終わる9月は、日差しこそ強いものの、重さを感じる水蒸気の塊が山の上に覆いかぶさっている。ここはマチュピチュ。海抜約2490メートルのアンデスとジャングルの境界にあり、ケチュア語で「古い峰」と呼ばれるインカ時代の遺跡である。

 いまでも建築時代の背景やその目的については明らかではない。その名は、この遺跡を考古学上の見地から初めて発表したエール大学のハイラム・ビンガム(Hiram Bingham)が1911年現地の人から教えてもらったという名称が遺跡の名になっている。
 ハイラム・ビンガムが発表するより以前、1902年にクスコのアグスティン・リサラーガ(Agustin Lizarraga)がこの遺跡に到達しており、さらにその存在は16世紀の古文書に記されていたという。

急峻な崖にある段々畑の下を流れるウルバンバ川急峻な崖にある段々畑の下を流れるウルバンバ川
 
  遺跡は農地と市街地、宗教施設によって形作られ、いまでも急峻な斜面には石組みされた段々畑が残っている。この地に街を作った目的は、ジャングルとの交易(主にコカや鳥の羽など)の中心地であり、帝都クスコへの中間拠点であったという説がある。しかしウルバンバ川を見下ろす急峻な山上に立つと、当時のハイウェイである”インカ道”によって北方の各都市と帝都クスコを結ぶ中間地点として、交易の拠点でありながらも、軍事上のまたは防衛上の拠点やインカ帝国支配の前線と考えたほうが受け入れやすく感じられる。

遺跡の中の通路は狭く、物を手にしては通りにくいインカ・ステップ : 石垣に埋め込まれ、突き出た石の階段。片足ずつしか足をおけない。
 
 遺跡内の通路は狭く、上下左右へと折れ曲がり、とてもわかりにくい。”インカ・ステップ”と呼ばれる石垣に埋め込まれ突き出た石の階段や狭く急な階段状の通路は、物を手にしては通りにくいうえ、多人数が同時に攻め込みにくい作りになっている。実際にインカ・ステップを上り下りしてみると、片足ずつしかおけないことがわかる。山頂近くの土地は狭く、そういった構造とならざるを得ないのかもしれないが、都市防衛の狙いを感じる。
 アンデス一帯を支配したインカ帝国も、ジャングルにまではその支配が及ばず、しばしばジャングルの住民とは争いがあったと言われる。マチュピチュは、その防衛的な構造と立地から、都市間交通や交易、防衛に配慮した当時の最新都市建築ではなかったのだろうか。

 

Peru Rail

クスコ サンペドロ駅 5:30AMクスコ サンペドロ駅 5:30AM

 マチュピチュへのアクセスは、列車での移動が一般的な移動方法である。クスコのアルマス広場の南西にあるサンペドロの駅舎は、早朝にもかかわらず、混雑している。この時間の列車は観光客向けの列車だけであり、ここにいる大多数は観光客か物売りのどちらかである。しかし一歩改札を抜けると、プラットホームはとても静かで落ち着く。
 ここからマチュピチュのある街アグアス・カリエンテスまでは列車で112Km、約3時間半の行程だ。標高2490mのマチュピチュから、途中3500m近くの山中を通って、2040mのアグアス・カリエンテスに向かう。アグアス・カリエンテスに着けば、呼吸も楽になり、高山病の心配もなくなるだろう。

 マチュピチュからの帰りは、アグアス・カリエンテスの温泉に寄って行くのも良い。まるでプールのような温泉に浸かり、歩きつかれた足を休めるには良い。もちろん風呂上りは、インカコーラだ。復路の車中では、楽しいショーが待っている。