マチュピチュへのアクセスは、列車での移動が一般的な移動方法である。クスコのアルマス広場の南西にあるサンペドロの駅舎は、早朝にもかかわらず、混雑している。この時間の列車は観光客向けの列車だけであり、ここにいる大多数は観光客か物売りのどちらかである。しかし一歩改札を抜けると、プラットホームはとても静かで落ち着く。
ここからマチュピチュのある街アグアス・カリエンテスまでは列車で112Km、約3時間半の行程だ。標高2490mのマチュピチュから、途中3500m近くの山中を通って、2040mのアグアス・カリエンテスに向かう。アグアス・カリエンテスに着けば、呼吸も楽になり、高山病の心配もなくなるだろう。
マチュピチュからの帰りは、アグアス・カリエンテスの温泉に寄って行くのも良い。まるでプールのような温泉に浸かり、歩きつかれた足を休めるには良い。もちろん風呂上りは、インカコーラだ。復路の車中では、楽しいショーが待っている。
- クスコ サンペドロ駅 5:30AM
アルマス広場(Plaza de Armas)近くのホテルから車で5分ほどでサンペドロ駅(Estacion Sun Pedro)。 ブルートレインを想起させるカラーリングの車体にゴールドのエンブレムが列車への期待感を高揚させる。
- 出迎え
マチュピチュのあるアグアス・カリエンテスまでは、ペルーレイルのビスタドームで3時間半あまり。ビスタドームは車両ごとに男女2名のアテンダントが乗車しており、列車の乗車口前で笑顔の出迎えをしてくれる。
- スイッチバック
サンペドロ駅を出発したビスタドームはダウンタウンを抜け、クスコの街を囲む南側の山の急勾配をスイッチバックしながら、登っていく。
- 民家
峠に差し掛かる途中、集落の中をゆっくり走る。まだ6時だが、すでに集落は起きている。洗濯物の干し方も大らかな感じだが、高地で乾燥しているので乾くのも早いのではなかろうか。
- アドベ
峠の起伏のある土地を走る。途中にはアドベ(adobe)と呼ばれる日干し煉瓦で造った家や小屋が目に付くようになる。アドベは粘土にわらなどを混ぜた物を素材とし、型を取って日干しにする建材である。安価で雨の少ない地域に適しているのだろう。
- 家畜
家畜として、馬やロバ、ヤギなどを多く見かける。
- 物珍しい
前の座席には、興味津々な乗客がいた。車窓を流れる風景が物珍しいのだろうか。
- ロバ
南米ではロバを良く見かける。アジアでは信じられないが、野良ロバもいる。(このロバは飼われているロバ)
- お茶のサービス
クスコからアグアス・カリエンテスまでは、ビスタドームが3往復するほか、もっとも高価な「ハイラム・ビンガム・トレイン」や安価な「バックパッカー」という列車が走っている。現地の人はいずれの列車にも乗車できないため、在来の列車を使うことになる。その反面、旅行者は在来の列車に乗車することはできない。 ビスタドームの料金は、往復で約108ドル。けっして安くはないが、こうしたサービスや天井まで広がる窓が列車内での経験を楽しいものにしている。
- ビスタドームの朝食
ビスタドームでは軽食のサービスがある。パンと簡単な一皿、コーヒーなど。笑顔でサーブされる朝食に、ついつい「Gracias!」と声を上げてしまう。
- 偵察
車窓への関心も覚め、見知らぬ東洋人が気になるらしい。「Bunos dias!」、「Good morning!」と声をかけても、逃げていく。それでも気になる東洋人らしい。
- 広い車窓
天井まで広がる窓は、線路の近くまで迫る山肌や森を見やすいものにしている。
- オリャンタイタンボ駅の土産物売り
途中停車したオリャンタイタンボでは、土産物売りやバナナなどの果物売りの女性が、短い停車時間に列車の外を何度も往復する。好奇心からじっと見つめてしまう自分の気持ちが心苦しくも感じる。 オリャンタイタンボ駅には、駅に隣接したEl AlbargueというB&Bがある。一度泊まってみたい宿のひとつだ。
- やっと2500m
オリャンタイタンボ付近から、Rio Vilcanotaという川沿いを西へ走る。今まで標高3000mを超える高地を走ってきたビスタドームは、ようやく2500m程度の場所を走るようになる。この程度の標高なら呼吸も楽だ。 周囲は4000mから5000mの山々に囲まれ、時折雪渓が見える。窓の外の空気は冷たく、頬が切れるようだ。
- 花売りの女性
ビスタドームはオリャンタイタンボを過ぎると、山が迫る渓谷を走る。途中数回、インカ道へのトレッキングコースのポイントで停車する。そこには駅はないが、インカの末裔が暮らす家がある。そこに暮らす女性がカラーのような花を束にして売りにくる。
- 花売りの女の子
花売りの女性の娘なのだろう。同じ花の束を抱えて、停車中の列車の窓に花束と目を向ける。このときには、買い手は見つからなかったようだ。ゆっくり列車は出発した。
- すれ違い
ペルーレイルの路線では単線区間が多いが、ときおりすれ違いのため複線になる区間がある。運転手は愛想良く、笑顔ですれ違う。
- もうすぐ到着
マチュピチュの麓にある街、アグアス・カリエンテスが近づいてくると、湿度が上がってきたように感じる。標高が下がってきたこともあるが、確実にジャングルが近づいてる。
- アグアス・カリエンテス駅
終点アグアス・カリエンテス駅。 アグアス・カリエンテスとは、スペイン語で「温泉」のこと。街の規模は小さいが、温泉が湧いている。
- リャマ使いの踊り
クスコに帰る復路のビスタドームでは、アルパカの織物製品を車内販売するため、アテンダントの二人がファッションショーをする。女性アテンダントが通ると車内は手拍子など結構盛り上がるが、男性アテンダントだと、笑いが起こる。すこしばかり見ていて切ない気持ちに・・・ ファッションショーと一緒に、白いマスクを被った踊りも繰り広げられる。踊り手はリャマのぬいぐるみを肩にかけている。この踊りは、ティティカカ湖周辺の伝統舞踊で「リャマリャーダ」と呼ばれるリャマ使いの踊りだ。車内でフォルクローロの録音演奏しながら、伝統舞踊の一端を楽しめる。ひょうきんな振り付けもあり、なかなか面白い。
- 近くで見るとすこし怖い
リャマリャーダは、スペイン人をモチーフにした仮面だとも言われている。
- ショーの後に
ビスタドームでのファッションショーの後、リャマリャーダとともに記念撮影。 リャマリャーダは、車内の荷物係りの人が演じ、ファッションショーはアテンダントの二人が行う。車内で販売するアルパカ製品は品物は良いが、少し高め。
- クスコの夜景
峠を越えてクスコに戻ってきた。シャッタースピードが遅くなってしまうので、どうしても光が流れてしまう。帝都クスコの夜は街路の明かりが静かに灯っていた。
- クスコ サンペドロ駅 9:30PM
運行時刻が比較的正確なペルーレイルだが、先行する列車が故障したため、2時間ほど遅延してクスコのサンペドロ駅へ到着。19時20分予定のところ21時半近くの到着。おかげでぐっすり眠れました。