スズメは賢いか(続)

 先日、北の丸公園で遭遇したスズメについて書いた。しかし毎日見かけるスズメについて、あまりに「薄識」であることを反省、すこしだけ勉強したおり、興味深い内容についてだけを以下に記録した。

いわゆる”スズメ”

 通常日本の街中で見かける”スズメ”は、”TreeSpallow”といわれるスズメ。日本にはそのほかに”ニュウナイスズメ”と呼ばれる種が主に標高の高い山林に生息。
 世界では14ないし15種が確認されている。また最近ではヨーロッパに多く繁殖するイエスズメが北海道北部などで観測されており、ユーラシア大陸を東進して日本に渡った可能性があると考えられている。

 ここではいわゆる”スズメ”について書くことにする。
 スズメは、スズメ目ハタオリドリ科の留鳥または漂鳥で人家周辺、農耕地、河原などに生息。体長14cm体重24g程度。野生環境での寿命は3?4年程度、飼育環境では10年を超える個体もある。

雌雄の区別

 カモなど多くの鳥は羽模様などで雌雄を比較的簡単に見分けられる。しかしスズメの雌雄には外見上の違いがなく、交尾のときを除けばオスメスの区別はつけにくい。しかし卵を温める抱卵期はすこし違うようだ。スズメはオスメス共に抱卵するようだが、抱卵している時間はオスよりもメスのほうが長いという観察記録がある。抱卵している時期のメスにはお腹の羽毛がなくなり、肌がむき出しになる。このむき出しの部分を”抱卵斑”といい、親の体温を直接卵に伝えて温めるためらしい。

抱卵

 スズメのメスは繁殖期に5?6個の卵を、毎朝早朝に一日一個産む。最後に産まれる卵を「止め卵」と呼ぶ。この止め卵はほかの卵に比べて、その色が白かったり、斑点が大きかったり、まだらであったりする。スズメはこの止め卵を産むと抱卵をはじめる。つまり止め卵を産むまでは、先に産んだ卵は”産みっぱなし”のようだ。

水浴び・砂浴び・アリ浴び

 水浴びや砂浴びをする鳥は公園などで見かける。通常鳥は季節に関係なく、体の汚れを落とし、外部寄生虫を払うために水浴びまたは砂浴びをする。スズメは季節によって水浴びと砂浴びを使い分けるといわれ、ここでもスズメの”賢さ”が表れる。さらにスズメは他の鳥類と同様に”アリ浴び”をすることがある。アリ浴びは、アリの巣穴やアリ塚にうずくまり、アリを自分の体に上らせたり、自分の嘴でありを羽根の間に押し込んだりする。これによりアリがもつ殺菌効果のある”蟻酸”の効果によってダニやハジラミといった外部寄生虫を駆除していると考えられている。
 話が横道に外れるが、こうした”××浴び”は鳥たちにとって衛生状態を保つという目的のほかに、心の昂ぶりを鎮めリラックスする効果もあるのではないかとみられている。鳥が激しい諍いを他の鳥と行った後、羽繕いをしている姿を見かける。これは諍いによる昂ぶりを鎮めるために行っているといわれているようだ。

縄張りと群れ

 スズメにも小さいながら縄張りがある。スズメは営巣するエリアを縄張りとし、ほかの餌を捕食するためのエリアを縄張りとする生き物に比べて、縄張りは極めて狭い範囲で限られている。したがって、巣が隣接するようなことも見受けられる。
 一方、田んぼや街中の街路樹などにスズメの群れを見かけるが、これはその年に生まれた、まだ縄張りをもたない若鳥の群れである。わたしの推測であるが、若鳥は繁殖期になり、産卵・抱卵するために営巣する必要が発生するまで群れで暮らすのではないかと思う。

参考サイトおよび図書
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スズメは賢いか?

スズメ登場 暖冬の昼、北の丸公園で弁当を食べる。平日でもあり、ベンチやテーブルには空きが目立ち、場所探しの苦労はない。陽のあたる木立の中にある、丸い石づくりのテーブルに陣取って弁当を広げる。鯖の味噌煮がウマイ。

 しばらくすると、人から食べ物をもらうことに慣れたスズメが一羽寄ってきた。一羽が寄ってくると、次から次へと地面を跳ねながらやってきた。特に慣れている様子の一羽が石のテーブルの上に載ってきた。

 最初のスズメは、私が弁当箱のふたの上に置いた鯖の骨を突付いた。すかさず私も追い払う。次はどうするのだろうと見ていると、テーブルの左からやってきて、私の弁当箱から飯粒を奪おうと狙っているようだ。これまたすばやく追い払う。この間も私は数枚の写真を撮っているのだが、スズメは一向に気にしていない様子だ。しまいにはテーブルの上に置いた私のデイバックの上に上がり、テーブル全体を見回し始めた。それでも私が黙々と弁当を食べ、時折彼らの写真を撮っていると、諦めたように皆去っていった。しかし...

スズメ登場スズメ、再度登場

 やはりある程度食べ物をもらえない時間が経過し、それでも人間がそのそぶりを見せないとスズメは去っていく。学習しているのだろう。

 弁当も食べ終わり、お茶を飲みながら弁当箱をしまっているとき、足元にスズメがいることに気がついた。ほとんどのスズメが去って行った後も、足元のスズメはそこに残り、ついには私がこぼした弁当のおかずを啄ばんでいる。もしかしたらこのスズメは、人間が足元に食べ物を落とし、さらには食事のあいだは自分の足元に気が回らないことを学習しているのだろうか。おもむろに顔を足元へ向けるとスズメは少しばかり離れる。しかし顔を背けるとたちまち足元に寄ってくるのだ。繰り返しても同じである。この、なかなか賢いスズメに敬意を表して足元に落ちたおかずは放っておくことにした。写真のモデル代である。
足元のスズメ
 結論 : スズメは賢い!